▼テックプロジェクトサービス株式会社  Iさん

TEC Project Services Corporation プロセス・エンジニア(2018年4月入社)


プロセス・エンジニアとしてプラントの「レシピ」を作っています

~コミュニケーションを大事にして、チーム一丸でプラントを作っています~

 

- Iさんはいつ入社されたんですか。

 

2018年4月入社なので、今年で6年目になります。

 

 

- プラント・エンジニアリングの仕事をしようと思ったきっかけはありますか。

 

今、プラントを作る仕事をしていますが、プラントを運用している会社の説明会にも行ったりしました。研究や環境系、石油関係の企業研究をして、プラント見学が結構あったりしました。見学して話を聞いているうちに、プラントエンジニアリング業界のことをそこで知って、そこからはエンジニアリング業界に行こうかなと思いました。

 

運用や保守の仕事より、何かを作ったりした方が楽しいんじゃないかな、と思いました。

 

 

- 入社前にイメージしていたプラント・エンジニアの仕事と、実際に働いて何か違いはありましたか。

  

入社前は設計なのでパソコンで作業をすることが多いのかなと思っていました。実際は、意外と話す時間や打ち合わせも多いですね。特にプラントエンジニアリング業界だといろんな設計部門が合わさって仕事をするので、密に連絡を取ったり、コミュニケーションを取ったりすることが必要になってくるので、担当者の席に行って話したりとかってそういうのは結構多いです。

 

お客様との打ち合わせも多いです。先方に言われた通りにやる、というイメージがありましたが、こちらから提案したりとか、逆に聞き出したりとか、そういうこともあって、進行中のプロジェクトに関しては、週に1回ぐらいは打ち合わせをしています。

 

 

- どういったメーカーから依頼があるんですか。

  

メーカーや医薬業界から依頼がある感じですね。私はプロセスエンジニアなので、いろんな部門がある中で、大まかな設計、大枠を作る役割をしています。上流工程として、何が必要なのかを考えます。機械に関しては、機械の担当者が詳細を決めて、発注や調達などをしていきます。プラント内の設備に関しては各設計の担当者が動いていきます。彼らはメーカーとやり取りをしますが、私は発注してくださったお客様(メーカー)から要望を聞いて、その要望を地図にする、よくこの業界では「レシピを作る」という風に言われています。

 

 

- 配管設計が配管のパイプを調達していく、ということですか。

 

 お客様からの要望があれば、私から配管の担当者にその要望を伝えて、配管担当者が要望にあったものを選んで、調達元に話す流れですね。細かい仕様の打合せに参加することはありますが、購入したりする業務はあまりやりません。もちろん、機械担当や配管担当とはよく密にコミュニケーションを取っています。

 

 

- 入社後の研修ではどんなことをされましたか。

 

最初の1か月ぐらい、親会社の東洋エンジニアリングと合同で1ヶ月ぐらい研修がありました。社会人のスキルや自社の強みなどを学んでいきます。それが終わったら各部門にわかれて研修があります。私はプロセスエンジニアの研修に2か月参加しました。

 

私は化学工学系なので、配属が決まって、その2日後に研修が始まりました。私はおそらくプロセスに配属されるだろうと思っていたので、驚きはしませんでした。ただ、配属先にびっくりしている同期もいました。

 

 

- プロセス設計の研修はどんなことをされるんですか。

 

レシピを作るにあたって、実際に作れるのかをシミュレーションしたりするソフトがあって、そのソフトの使い方を学んでいきます。急には使えないソフトですね。大学の知識も活かせました。その機械の能力を計算したり、細かいそれぞれの仕様を決めるにあたって、どういう計算する必要があって、どういった確認作業が必要か、といった細かなことの計算方法を一つずつ確認していきます。プロセス設計の部門の研修が一番長くて、全体の研修が5月まであって、私の部門は7月半ばぐらまで研修が続きました。

 

座学をやってから、研修課題が出て、その課題をやって、答え合わせやって、また次の課題っていう流れで、それを繰り返していきました。課題が重なるので結構大変でしたね。

 

 

- プロセス設計はどういった専攻の方が多いんですか。

 

化学工学が一番ぴったりで、化学系の人も多いです。

 

 

- 夏以降はOJTになりますか。 

 

そうですね。アドバイザー制度というのがあって、配属が決まったところで、上司か先輩が一人ついて、その人に教わりつつ業務を進めていきます。研修のときも、同じように教わりながらやるんですけど、大体その人の仕事について、一緒に担当していくようになります。去年、私もアドバイザーをやったんですが、後輩も同じような形で今の仕事を一緒にやっています。アドバイザー制度の期間は1年ぐらいです。私も1年目の12月ぐらいからはその違う仕事を始めて、年配の方について、非常に長いこと教わりました。

 

 

- これまでどんなプロジェクト(案件)に関わってこられたんですか。

 

1年目の12月から開始した石油関係の新プラントのプロジェクトは結構大きくて、一昨年ぐらいまで、大体4年間ぐらいやっていました。弊社は、自分がやったプロジェクトを実際に建てるっていう仕事の場合は、現場に行くという制度があって、それで8か月ぐらい現場に行っていました。ちょっとレアケースでした。

 

あとは建てる前の、どういうコンセプトでやるのかざっくりとしたイメージを具体化していく作業があります。例えば敷地の大きさや、どれぐらいお金がかかるのかを目算するプロポーザル(proposal)という仕事があって、そういう仕事は大小さまざまな規模があります。そういう仕事もちょこちょこやっていて、医薬系の仕事もやりました。そこは現場に長いこといたんですよ。

 

 

- プロセス設計の担当者は現場でどういった仕事をされるんですか。

 

プロセスは長期で現場に行くことはあまりなくて、大まかなレシピを作って、最後の試運転に立ち会います。実際に、できているのか、使えるのかの確認をします。最初と最後の業務がメインですね。その間は、プロジェクトエンジニアを中心に各部門の設計者が担当していきます。規模によって工期も違いますが、プロジェクトエンジニアは最初から最後まで現場にいますね。

 

 

- プロポーザルの段階で、その土地に行くこともありますか。

 

お客様のところに行くことが多いですね。コロナのときは、WEB会議も多かったですね。コロナ前は、日帰りで、島根県や山口まで出張して、お客様と打ち合わせをしていました。プロポーザルの段階だと、お客様の要望も、きっちり固まってないんですよ。詳細をヒアリングして、お客様の要望に沿ったものを形にできるように、コミュニケーションを取ることが重要ですね。

 

 

- 2018年から2021年頃までその一つのプロジェクトに関わっていたというお話でしたが、それと並行して、また別案件のプロポーザルをやったりもするんですか。

 

そうですね。結構、掛け持ちすることも多いです。レシピ作りのときが一番忙しくて、途中からほかの部門の方も入ってくるような流れです。試運転の確認が入ってくると、またそこで忙しくなるので、掛け持ちはできなくなりますね。

 

 

- 大体、お1人何件ぐらい案件を抱えているものなんですか。

 

最近は、大きい案件の場合は1件なんですが、4つぐらいやっていた時期もあります。ただ、いろいろやっていると自分が今、何をやっていてとか、説明することも多くて、ほかの部門の人とコミュニケーションとります。いろんな仕事を経験できるので、毎回新鮮ですね。

 

 

- 今はどんなお仕事をされていますか。

 

今は、医薬系、ケミカル系のプラントです。工事も始まっていて、試運転が8月ぐらいに始まるので、今はその準備をしています。チェック項目を作って、それを精査して、試運転して確認できたことを書類として残さなきゃいけないので、その書類作りをしているところです。 

 

お客様とも確認項目について打合せをして、お客様から「これを確認してほしい」と言われれば、それを入れ込んでいきます。

 

 

- お客様との打合せは多いんですか。

 

お客様から、後からこうしたい、という要望がくることもあるので、書面でも連絡します。電話は多くて、1日1回ぐらいはしていますね。プロセス設計の部門は、私を含めて3人で仕事をしているんですけど、WEB会議のセッティングをしたり、他の部門に電話もします。

 

 

- 工事を進めている最中にお客様から変更したい、という要望があった場合、どうされるんですか。

 

いい質問ですね。どうしてもという項目もあるので、取捨選択とすり合わせが大事ですね。絶対に必要だと言われれば、落としどころを探ったりします。でも、どうしようもない場合は、のちのち変更しやすい仕様に変えたり、改造しやすくしましょうとか、提案したりします。逆にこちらから変更をお願いすることもあります。折衷案になっていくことが多いですね。

 

 

- 改造をしやすくした場合は、メンテナンスやアフターフォローで対応するということですか。

 

追加でやるか、別として扱うことが多いですね。

 

 

- 普段、社内のいろいろな部門の方やお客様とお話をされていますが、何か仕事をする上で心がけていることはありますか。

 

私は今、後輩が7人いるので、なるべく後輩と話すようにして楽しく仕事をするようにしています。雑談や無駄話も、大事だなと思っています。人間なのでやっぱり、好き嫌いはあると思います。日頃、親しい関係を作っておけば、仕事のお願いをするときも、話しやすくなりますよね。私が一番しゃべっているので、後輩からは「仕事してください」って言われていますよ。

 

 

- お話を聞いていると、入社してすぐに大きな案件に関われていらっしゃいますね。

 

そうですね。受注状況のタイミングにもよりますが、一年目に大きな案件を担当して、ベテランの方について一緒に仕事をしていると、その方がすごく教えてくれて、今思えばラッキーだったなと思います。そのおかげもあって、仕事の大まかな流れや進め方を掴めたので、今でも役に立っていますね。

 

結構、スパルタで、打ち合わせも一人で行くこともありました。その場に慣れて、お客様は偉い人ばかりなので緊張するんですけれども、わからないことは持ち帰りますとはっきり伝えます。1年目の終わりぐらいには、訪問して打ち合わせはしていましたね。やっぱり、わかっている方は騙せないので、空気にのまれないように乗り切ることに必死でしたね。

あと資料は自分で作って持っていくんですけれど、伝え方や見せ方に関しては、結構教わりました。うちの会社は1教えてほしいと頼んで、10を教えてくれる人たちが多いので、そのあたりは恵まれた環境かなと思います。プロセスエンジニアの経験が長いレジェンドみたいな人がいます。

 

 

- プロセス設計のお仕事は、大学時代の化学工学の勉強は活かせていますか。

 

化学工学で習ったことは、業務で全部使うんじゃないかっていうぐらい使っています。計算がすべてみたいなところもあって、計算が大きなところを占めています。もちろん、化学の酸素や水素とかそれぞれの性質の知識も使っていきます。大学時代に学んだ知識を活かせない人も結構多いと思いますが、プラントエンジニアのプロセス設計は、化学とか化学工学の知識がかなり活かせる職種だとお思います。

 

 

- お仕事をしていて、失敗や失敗しそうになった経験はありますか。

 

失敗は、お客様の要望を聞いたつもりでいて、全部をちゃんと聞き切れていなくて、進めてしまって、あとから指摘をされたことはありますね。「これ違うよ。こうしたかったんだけれど」と言われることは結構あります。お客様が考えていることを聞き出すのってなかなか難しいですよ。こちらが当たり前だと思っていたことが、向こうにとっては当たり前ではなくて、その違いがわかってくることは、プロセス設計ではよくあることだと思いますね。要望の多いお客様の場合はわかりやすいんですが、そうでない場合は、なかなかそれが出てこないので、聞き出せないと失敗しますね。

 

 

- どうやって聞き出していくんでしょうか。

 

最初にプロジェクトが立ち上がったときの確認項目とよくある失敗事例をまとめているので、そこを確認しておきます。プロセス設計の場合、最初のレシピづくりが一番忙しくて、そこで確認したりする時間がなかったりするんです。あとは、プロポーザルの段階から、はっきりとした区切りはなく、ぬるっとプロジェクトがスタートして、いつのまにか忙しいとなってしまうと、抜け落ちてしまうことはありますね。

 

 

- 確認するタイミングがなかったりするんですね。

 

一番いいのは書面にして、項目ごとにお客様と確認ができればいいんですが、なかなか難しいところですね。そこのコミュニケーションギャップがあって、お客様から「違うからやり直して」というのは、これまでありました。ただ、その変更、つまりレシピが変わると、食材も変わるし、フライパンの大きさも変わってくるので、損失にも関わってきます。仕様変更をすると迷惑をかけることにもなって、全体にも影響が出てしまいます。どの部署にも責任はあるんですが、周りへの影響の度合いを考えるとプロセス設計の責任はより重大ですね。

 

最初が遅れると、どんどん遅れていきますよね。プロセス設計ではなくて、現場の担当が遅いみたいな感じになります。だから、こちらには「早く出せ、早く出せ」と言われたりします。プロセス設計担当には、最後の試運転が待っているんですが、このスケジュールが短くなってしまう。最後の結論部分は変えられないので、結局自分たちに回ってくるんです。

 

 

- これまでにやりがいを感じられた出来事はありますか。

 

新型コロナウィルスのワクチンの工場の仕事をやって、「ワクチンの製造を開始しました」というニュースを見たときは、ほっとしましたし、うれしかったですね。普通のプラント建設だったら新聞に載ることはないと思いますけれど、あれは特別な出来事ですね。工事の途中で、「早く作ってくれ」というプレッシャーはありましたけれど、ちゃんと稼働していますし。それが仕事の醍醐味かもしれません。

 

あとは、1人でやるというより、みんなで作り上げる仕事であることも大事なポイントですね。私は元々サッカーをやっていて、個人よりもチームスポーツが好きでした。チームで一丸となってやるっていうところも、醍醐味だと思います。みんなで一つの目標に向けて力を合わせることが好きな人には向いている仕事だと思います。

 

 

- 普段からいろんな人を巻き込んで、業務を進めていらっしゃいますね。

 

そうですね。ミーティングではなく、その人の席まで行って歩いてしゃべることが多いですね。緊急事態のときは、ミーティングしますけど、細かい調整であれば、立ち話が多いですね。

 

 

- 席は近いんですか。

 

そうですね。逆に他の部門の話が聞こえてきたりして、自分たちに関係がありそうだな、と思って聞いたりしています。やっぱり、次に自分のところに来るぞ、と思ったりして。

 

 

- 今年で7年目に入りますが、どんなことができるようになった実感されていますか。

 

お客様の前での説明をして、すぐに回答できることが多くなりましたね。知識が増えて、計算方法や注意点についての蓄積が増えて、以前の仕事から知識を引っ張り出せるようにもなってきたので、「持ち帰って、後日回答します」というケースはかなり減りました。

 

 

- これから、どのようにキャリアをステップアップされていきたいですか。

 

あんまりないんですけれど、人の面倒を見るのが好きなんで、今後もアドバイザー的な役割もやっていきたいですね。

 

 

- 関わってみたい案件はありますか。

 

これまでにやったことのない系統のプラントを作ってみたいですね。いろいろな医薬系、化学系のプラント建設に関われるのがプラントエンジニアリングの醍醐味かなと思うので。作るものによって、仕様が全然違うし、工程も変わりますし、乾燥させたりとかもあったりとします。酸性かアルカリ性によって材質が変わったりすることもあります。バイオ医薬品だと菌があると駄目なので、その菌を処理する設備を入れたりします。清潔さのグレードが違うんですね。あとは、材料を混ぜる段階ではクリーンルームは要らないんですけれど、完成に近い工程にクリーンルームを入れたりすることは多いです。

 

バイオ医薬品だとオールクリーンルームの場合もあります。そういう工場に入るときは、お客様は宇宙服のような化学防護服を来て、酸素ボンベを背負ったりしています。トランシーバーで会話をしたりとか、それは大変でしたね。

 

 

- Iさんがチーム一丸となってやっていくために、何か心がけていることってありますか。

 

話すのは大事かなとは思います。自分が小さなことだって思っていても、ほかの部署にとってはそうではないことも結構あります。自分はこう考えているんですが、どうですか、と尋ねるようにしています。自分から言わないと、わかってもらえないので。

 

お客様からの問い合わせはプロセス設計にくるので、ほかの部門に展開するようにしています。影響があるのか、小さなことも含めて、連絡するようにしています。

 

私がアドバイザーのとき、後輩にも伝えていたんですが、メール1本で済ませてしまう人もいると思うんですが、依頼を一方的に送るのは、少し印象が悪いじゃないすか。メールを出してから、「すみません。これ、さっきメールしたんですけれど、お願いします」みたいな一言を添えたりするようにしています。そういったコミュニケーションは大事にした方がいいよっていう風には教えています。それぞれ得手不得手はあると思うので、みなさんを巻き込みながら、仕事が進められたらいいですね。

 

 

- テックプロジェクトサービスの職場の魅力は何だと思われますか。

 

上の人とも、とても話しやすいですね。偉そうにしている人はいないですね。レジェンドの方とかもすごく親しみやすくて、何でも聞けたりする環境です。部長や副部長とも、普通に雑談できますし。フラットな職場と思います。嫌なことや言いたいことを言っても煙たがれることはありませんし。

 

 

- 嫌なことって、たとえばどんなことですか。

 

見直しとかですね。一応、話は聞いてくれますね。逆に向こうからも聞かれたりします。プロセス設計は、プロジェクトごとに全然違う仕事、違う動きで、タイミングによって全然違う仕事するんです。自分の裁量で進められるので、ほかの部門との細かな調整は続いていきますね。

 

 

- 最後にIさんから、テックプロジェクトサービスへの応募を考えている留学生へのメッセージをお願います。

 

優しい人が多い会社です。質問をしたら、みんな答えてくれますし、聞きにくい上司みたいな人はいません。そこは不安に思わなくても大丈夫です。そこがうちの一番の魅力ですね。

 

テックプロジェクトサービスに興味を持たれた方は、ぜひ応募してください! 

日時:2024年1月5日

場所:テックプロジェクトサービス本社

インタビュアー:ASIA Link 相馬

記事編集・構成:ASIA Link 小川